わりと好きかもしれません。

お気に入りの数学の話題について、ぽつりぽつりと書きつづっていければと思います。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
久しぶりに書く今回の話題は「正五角形の作図」です。

ははあ。

ただし、単に作図の手順を書いて
「こうやれば作図できますよ」
と終わってもあまり芸がないので、
「作図法なんて知らなくっても、自分で復元できますよ」
という理屈込みで紹介してみるね。
(じっさい、私も作図法そのものを覚えているわけではないし)
その目的のために大変に役に立つ道具が、複素平面というやつです。

複素数というのは、i2=?1 を満たす数 i を導入しておいて、
x+iy(x, y は実数)という形をした数のことでした。
x+iy という複素数に (x, y) という座標平面上の点を対応させることで
複素数の全体は座標平面と同一視することが出来て、これを複素平面というのでした。

重要なことは、複素数の演算が幾何学的な意味を持つことです。
足し算は、平面ベクトルの足し算と思うことが出来ます。
そして、こちらがずっと重要ですが、
かけ算は回転と拡大・縮小という意味を持ちます。

たとえば r>0 のとき r(x+iy)=rx+iry なので、
rをかけるという操作は相似率rの相似変換を施す、ということと同じです。
そして、回転を表すと言うことは、次の等式から分かります。

 (cosα+isinα)(cosβ+isinβ)=cos(α+β)+isin(α+β)

これは三角関数の加法定理から分かります。
図形的に解釈すると、
単位円周上の点 (cosα, sinα) を表す複素数 cosα+isinα に
cosβ+isinβ をかけると、
反時計回りにβだけ回転した点を表す cos(α+β)+isin(α+β) になる、
ということです。
なお、0でない任意の複素数 z は必ず
 z=r(cosα+isinα)
の形に書き表すことが出来て、これを複素数 z の極座標表示といいます。
このとき、rをzの絶対値、αをzの偏角と呼びます。
偏角は、ここでは 0≦α<2π の範囲にあると約束しておきましょう。

このことを用いると、
「方程式 z=1 の5つの根はちょうど、
 複素平面上の原点を中心とする単位円周に内接する正五角形の頂点を与える」
ということが分かります。
5つの根のうち実数であるのは1だけで、残りの4つは本当に複素数です。
それら4つのうち、一番偏角が小さいものを ζ とおくと、
残りの3つは ζ, ζ, ζ となります。

いま、ζ と ζ は互いに複素共役であり、
ζ と ζ も互いに複素共役であることが分かるので、
(たとえば 1, ζ, ζ, ζ, ζ を図示してみればよく分かります)
それらの和
 α=ζ+ζ, β=ζ+ζ
はどちらも実数のはずで、
つまり複素平面で考えれば、どちらも実軸の上に乗っているはずです。
さらに図を描けば分かるように β<0<α となっています。

方程式 z=1 において根と係数の関係を用いると
  1+ζ+ζ+ζ+ζ=0
なので、
 α+β=?1
が分かります。
(これを (α+β)/2=?1/2 と書き換えると、
 図形的には「2つの点 α と β の中点は ?1/2」ということを意味します)
また、
 αβ=(ζ+ζ)(ζ+ζ)=?1
でもあります。

かくして α と β は2次方程式
 t+t?1=0
の根ということになって、これを根の公式を用いて解くことで
 α=?1/2+√5/2, β=?1/2?√5/2
であることが分かりました(β<α を思い出そう)。

さて、以上の計算の意味を幾何学的に捉え直してみます。
複素平面において、
2点 α, β はともに、点 ?1/2 から距離が √5/2 のところにある点である、
言い換えれば、
中心が?1/2 で半径が √5/2 の円周と実軸との交点が α, β である、
ということです。
ラッキーなことに、?1/2 と i の距離がちょうど √5/2 なので、
この2点を通る円周を描けばよいことになります。
さて、α, β と ζk たちとの関係を考えます。
図示してみれば明らかですが、
原点 0 と α を端点とする線分の垂直二等分線が
原点を中心とする単位円周と交わる点が ζ と ζ であり、
原点 0 と β を端点とする線分の垂直二等分線が
原点を中心とする単位円周と交わる点が ζ と ζ なのです。

以上で必要な計算と考察はおしまいです。

正五角形



これを元にして作図の手順を考えてみると、次のようになります:

(1) 互いに直交する2つの直線 l, m を描く。
(2) l と m の交点 O を中心とする適当な半径の円 C を描く。
  直線 l と円 C の2つの交点を L, L' とし、
  また直線 m と円 C の交点のうちの1つを M とする。
(3) 線分 OL' の垂直二等分線を描き、それと l との交点を P とする。
(4) P を中心とし、M を通る円 C' を描く。
  C' は直線 l との2つの交点を Q, Q' とする。
(5) 線分 OQ および線分 OQ' それぞれの垂直二等分線を描く。
  それらが円 C と交わる点が、求める正五角形の頂点のうちの4点。
  残りの1点は L である。
スポンサーサイト
テーマ:数学 - ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://kinginsunago.blog63.fc2.com/tb.php/8-961ecbbe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。